座長挨拶

座長  鈴木新一

設立に至った経緯について

 国政が混沌とした様相の中、様々な社会問題が発生している中で、世界的な不況の波が押し寄せ、デフレが加速していく経済状況がここ根室市の地方都市におきましても対岸の火事と言いづらい状況になりつつあります。今後の地域社会がどう世界情勢や国政、環境の変化に対して向き合い共存共栄していかなければならないのか混迷を深めているようにも思えます。

 一部政治家からは地域主権という言葉をよく耳にする様になりましたが、果たして現状では地域の将来像を描く未来のビジョンづくりに向けた十分な議論や行動が創造されているのだろうか疑問に思うとともに市民の多くがそれを知りたがっている様に思えてなりません。根室市民の多くは自分たちの地域社会の未来に不安や閉塞感を心の底に常に抱えています。未来のビジョン、夢や目標を掲げて語れなくなった企業はおろか地域社会も必然的に衰退していくことは確かなように思えてなりません。

 朝日に一番近い町、味覚の宝庫「根室」はさんまの日本一の水揚げ港として有名な根室花咲港を有する水産が基幹産業である日本有数の水産都市です。また北方領土問題原点の地であると共に反面ロシアとの水産物の輸入貿易の盛んなこの地域独特の特異性を持った国境の町でもあります。

 今後の地域が抱える問題として産業振興の問題は当然重要なテーマであり、さらに医療・福祉の充実、教育環境、教育レベルの向上の問題、そして北方領土問題の早期解決の問題などが主に上げられます。

 それら様々な問題に対して地域で経済活動を営む若手経済人がより問題意識を高め、見識を深め、それらの諸問題に対して市民のオピニオンリーダー的な存在となって、まちの将来像を描く未来のビジョンづくりに向けた活動を今から始めるべきだと強く思いました。この街の経済を牽引してきた60代~70代の先人たちが、いずれ5年~10年後には引退され我々にバトンが手渡されるのであれば、今からその準備をスタートしていくべきではないのかと考えます。

 当会の一つの位置づけとして根室の将来を語り、次世代を担う若手経済人の発掘と育成の場となれる様な会の運営を目指します。

理念とメンバー構成について

 「根室のまちとくらしの地域力の向上と活性化を追求し、地域社会の進歩発展に貢献する。」という「理念」を掲げ、この地域をより良くしたいという共通の「志」、「考え方」を共有する30代~40代を中心とした若手経済人が33名集まり「根室まちとくらしネットワークフォーラム」の発足となりました。メンバーの召集に関しては座長の鈴木が勝手ながら、平成3年の地元根室への帰根以来約20年間の根室での様々な経済活動やボランティア活動を通じて知り合った仲間、知人を中心にお声掛けさせていただき構成させていただきました。そして当会の相談役(アドバイザー)として地元金融機関のトップであられます大地みらい信用金庫の遠藤理事長をお迎えしてご協力いただく事になりました。

 多くのチャンネルを持った組織を形成するためにも、行政、水産、農業、商業、工業、教育、医療、観光、金融、等のあらゆる業種、業態に従事する品格ある人々の集まりにいたしました。参加は原則すべて個人参加の会ではありますが、公務員である立場での参加者の方々は所属団体のトップの方のご了承の上で根室市、根室振興局から優秀な人材を2名づつ輩出して頂き参加となりました。

 我々はこの根室の地域経済の活性化と地域力の向上なくして、地域企業の発展、市民生活の向上もあり得ないと考えており、次世代を担う子供たちのためにも、自活力あふれる地域社会の創造のためにも地元経済人が知恵を出し合い、力強く前向きな行動、発言を展開すべきと考えます。

他団体との連携について

 開拓者精神旺盛な狩猟民族的気質を持つ優秀な個々の企業や個人がいる中で、また一方では出る杭は打たれる、さらに足を引っ張るような人口の流入と循環の少ない小さな地域社会独特の風土病が続いてきた中でこれからはそれぞれの縦割り的な発想や取り組みを軽減し、横の連携まさにネットワークが重要なファクターになると考えます。一つの事業を検討、議論する上でも物事を包括的に一つ上の視点で総体的にとらえて収支のバランスを合わせ、スクラップ&ビルド的な発想とアプローチが必要とされると考えます。そのためにも官民一体となった取り組みももちろんですが地域全体をマネイジメントする発想が必要です。また既存のそれぞれの活動主旨の異なる団体や行政、民間企業、業界団体、有識者が大同団結したり、連携して行動する必要性が近年の地域人口減少による様々な弊害や経済力等の各分野の縮小化に伴い今まさに必要とされる大切なポイントではあるまいかと考えます。

 そこで我々「根室まちとくらしネットワークフォーラム」では根室市内における既存の他団体と対局的に構えずに、あくまでも是是非非での立場から協力連携を呼びかけます。この地域にとって大切なテーマに関しての議論や勉強を通じてアイデア、政策の提言、時には市民のオンブズンマン的な立場を意識しての行動をしていこうと考えます。「オール根室」の実現に向けてのネットワークづくりの一助になりたいと考えています。

 さらに東北海道のこの道東圏においてすでに発足されております「釧路根室圏まちとくらしネットワークフォーラム」(釧路市・宮田座長)及び「まちとくらしネットワークフォーラム中標津」(中標津町・長谷川座長)の同じ根室・釧路圏の他の2団体との連携により切磋琢磨しながら協働する予定です。

今後の取り組みと活動内容について

 まず我々自身が定期的に開催予定の例会活動を通じて勉強と議論を通じての自己研鑽を強化し、自らの人間性と人間力の向上を高める努力をしていくことを基本とします。そのことが会社、所属団体の活性化や発展のためにも繋がり、自分自身のため、家族のため、そして地域社会のためにもなると確信しております。我々自身が高い志を持った集団になり、仲間を増やしながら地域の明るい未来創造に向けて協働していくことが地域力の向上の一助になることを信じて行動していきたいと思います。

 「国家百年の計は教育にあり」と言われるぐらい教育は地域の将来を担う人材を創造する大切なテーマであります。我々の世代は我々自身が義務教育から高等教育を受けている子供たちの親の世代でもあり、また企業経営者としての視点からは優秀な人材の確保という問題を常に抱えている立場でもあります。さらに我々の親の世代の老後の心配などを考えれば医療、福祉、介護と言ったテーマも同様に直接かかわる問題でもあります。

 以上のことからも「教育」「医療・福祉」「産業振興」「北方領土問題」の4つのテーマを柱にして当会の活動を考えていきたいと思います。具体的には地元2高等学校の統廃合の問題や市立総合病院の新規移転問題、人口減少問題等に加えて水産ビジネス、観光ビジネス、ロシアとの貿易等、様々な産業振興の問題に関して勉強、検証を積み重ねながら当会の活動に取り組んでいきたいと考えています。

 行政に対しての政策提言、市民を巻き込んでの公開例会、シンポジウムの開催等も今後検討しながら実施に向けて活動していきたいと考えています。

 自主自立の精神と自活力溢れる地域社会の創造のために、我々は協力して研究、勉強、活動の展開を推進していく所存です。

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